群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「……一度しか会ってないのに、こんなこと信じてもらえないかもしれないけど


俺…本気で君のこと好きになった。」



抱きしめながら


そう彼女の耳元で囁いた。



…顔を見たら


緊張して気持ちを伝えられなくなってしまいそうだったから。



君の前ならカッコ悪い自分も好きになれる、そう思った。



いつも笑顔の君が隣にいてくれるなら


俺も笑っていられると思った。




───腕の中の彼女が震えているのがわかった。




あ、やばっ!!



俺は慌てて彼女から体を離す。


突然離されて驚いたのか、彼女は顔を上げた。




…やっぱり泣いてる…



彼女の目には涙が溢れてた。


瞬きをしたら、今にも落ちそうなくらい…。





「ごめんっ!…突然抱き締めたりして…



嫌だったよね!…ホンットごめん!!」




今度は俺が頭を下げた。




そりゃー、好きでもない男に抱きつかれたら泣くよ…。





心の中で『好きでもない』って自分で言ったくせに、

……何か泣けてきた。




俺は肩を落とした。





「違う、違うよ!」


…彼女の声が沈黙を破った。
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