薫風-君といた軌跡-
「…宏平!宏平!!起きなさい、入学式、遅れるじゃないの」
…っやべ。
あれから目を開けたのは翌日、
入学式の朝だった。
あのままずっと寝ていたらしい。
時計は7時5分を指していた。
飛び起きた俺は
寒さに震えながらシャワーを浴び、
真新しい制服に着替えて朝食をとった。
「お母さん、貴ちゃんと後で行くからね」
「別にいーよ。くんなよ」
「あんたじゃなくて、リュウくんの晴れ姿を見に行くのよ」
鼻を鳴らしながら言われた。
「わーったよ、勝手にしろ」
貴子さんと俺の母親は昔からの仲だ。
子供をほったらかしてでも
カフェやレストランで
自分たちだけお洒落にお茶をしたりメシを食ったりしている。
まあ、関係ないけど。
「ほら、リュウくん来たわよ」
相変わらず5分前とか10分前行動のリュウは
もう迎えに来た。
「っす!おー、似合ってんなコウ」
「てめー口元笑ってるけど?」
「んなこたねーよ」
確かに自分でも思う。
ずっと学ランだった俺らに
ブレザーやネクタイは
似合わなくておかしい。
そしてちょっと、照れ臭い。