薫風-君といた軌跡-
「二日酔い…ではないはず」
「ほんとに?まぁ飲むなとは言わないけど、ほどほどにしなよ?」
「うん、大丈夫」
言いながら俺は皿を洗い出した。
「ほんとあんたはいい子よね。リュウなんかやらないわよ!ほら見て、アタシの手!!もうボロボロ」
貴子さんは自分の手を俺に見せ、リュウの愚痴を言ったり、なんだかんだ喜んでくれる。
でも、いつ見てもその手はやたら綺麗に整っている。
貴子さん自体、もともと綺麗なんだけど。
…うちのババアと同い年には見えない。
皿を洗って、俺は貴子さんの前に座った。
「ありがとね♪…で?今度は何したの」
やっぱり、この人はお見通しだ。
「元カノが夢にでてきた」
俺は一気に吐き出した。
色のない声だったと思う。
「まあ正確には、声だけ」
さらに付け足した。
「なんて?」
貴子さんは軽く身を乗り出して聞いてきた。
「忠告的なこと言われた」
「ふぅん?」
「女引きずってる男とか、マジカッコ悪い」
「んなことないよ」
「えー、だってさぁ…」
「いないもんはしょうがないでしょ!彼女はね、あんたにはもっと似合う女がいたから消えたのよ」
貴子さんは煎餅をほうばる。
その横顔は
本当に凛々しく見えた。
「ほら、この煎餅持っていきな♪」