親友と傘
私の存在
行く宛てもなく街を歩いているとき思った「私は今生きているのだろうか。」
雨が降りはじめた空にはすぐ流され消されていった気がした。
青色の少し大きめの傘が今の私を隠してくれている気がした。
橋の中間あたりまで来たとき風が強く吹いた、少し驚いたとき私の手から傘が逃げていった。激しく降っている雨に容赦なく濡れ、もう本当にどうでもよくなっていくなにもかも・・・。
私は羽生一華(はにゅう いちか) 今年高校生になった。最初は高校というものに期待と希望でいっぱいだった。だが、中学と状況は変わらない。
『死にたい』
つまらない日常、同じ時が流れていくばかり。
親は3年前に離婚、母に引き取られたが母が1年後に再婚、そして、子供がが生まれた。家の中では私だけがよそ者・邪魔な存在・他人・・・自分ではどうすることもできず2年間いるようでいない私の存在のまま家で過ごす。両親の離婚から私自身が変わり人とあまり関わらなくなった。そのせいでか学校でいじめられるようになっていた。
家にも学校にも居たくなくてよく街をプラプラする、運が悪いと補導される。すると絶対に「家は?」「親は?」と聞いてくる。心の奥でつぶれていく・・・今まであった家族との思い出がくしゃくしゃになってどこかへいってしまう、そんな気がしていた。
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