親友と傘

そいつと私

朝、目が覚めると憂鬱になる。
リビングにいくとそいつ(母)が柄にもなく家事に励んでいる。それを特別気にとめないでそいつの横をすり抜けてコップを手にとり水を飲む。
いつもは無視するくせにそいつは私に話しかけてきた。
「あのさ、高校生なんだから1人で暮らしてくれないって前にもいったよね。早く出てってくれない?邪魔なんだけど。」
「知ってる。今、部屋探してるとこだから。」
「あっそ、1日も早くいなくなってね。」
そう言い放つとそいつは外に洗濯物を干しに行った。
「知ってる。」もう外に出ているそいつに聞こえないと分かっていて口から出た言葉は自分自身につぶやいたものだったのかもしれない。
もう学校は始まっている時間、でもあんな無駄なところに行きたくない。
私服に着替えてなんとなく外にでた。傘を一本持って・・・
街を宛てもなく歩き進んでいると雨が降ってきた。無意識に傘をさして歩き続けた。
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