ただ愛が欲しいだけ
「森ノ宮晋也ぁ?」
俺の名前を呼ぶ声がした。俺は振り返った。
「お~!まさかの晋ちゃんやないか♪」
「わっ!!」
と大阪弁で喋りながら俺に勢いよく飛びかかってきたのは中学生のころ同じクラスだった『林野哲平』。途中で大阪に引っ越した友達だ。
「なんでお前ここに居んの?」
「久しぶりの再開やっちゅーのにその言葉傷付くわ~w」
そう言いながら俺の肩を叩く。叩いたあと肩を組まれ連れていかれた。その時、俺は振り返り扉を見るがそこにはあった扉が消えていた。まるで最初から無かったかのように。
そして、俺は哲平に連れられながらブラブラ歩いていた。
「何年振りやろーな。今、何歳や?」
「25……って同い年だろーが」
「そうやったなぁー」
と笑いながら哲平は話を続ける
「そういえば、来週の日曜やったかのう。確かその日に同窓会があるやんか。そのために来たんやけど」
と少し俺を見つめてから
「晋ちゃんは来るんかい」
「行かない」
その言葉を聞くと哲平は少し拗ねた子供のように唇を尖らせ
「晋ちゃん行かんなら俺も行かん」
「お前なぁ…」
溜め息を吐いてから俺は哲平の顔を見ずに
「しょうがねぇな」
「流石、晋ちゃん!昔からツンデレやと思ってたけどw」
「ツンデレじゃねぇよ」
哲平は満面の笑みでこちらを見ていた。
そのあとは何故か中学生の頃の話をしていた。
「俺等も歳食ったな」
「せやなぁ」
笑いながら歩いていると、いつの間にか人気のない路地のカフェ前を通りかかった時に哲平が立ち止まり、顔を赤くしながら
「し、晋ちゃん。好きな人…おる?」
「は?」
俺も立ち止まり振り返る。そのあと、もじもじしながら上目遣いで見詰める。
俺は少し疑ってしまった。もしかして、こいつ、げ、げ…
「俺、好きな人おるねん!こ、ここの看板娘の小春ちゃんや」
少し安心している俺が居た。もしかしたら、道を踏み外したのかと思った。