月夜の太陽
『ルナッッッ!!』



名前を呼ばれ、後ろを振り向くと鬼のような形相でこちらに近づいてくるサハルド。


もう見付かってしまった。


はっ!あの人ッッ!!


再び彼がいた方に顔を向けたが、すでに彼の姿はどこにもなかった。



『勝手に1人で出歩くなんて何考えてんだ!!』

「ごめん」

『お前な、自分の立場ちゃんと分かってんのか!?いつどこで襲われるかわかんねぇんだぞ!?』

「だからごめんって言ってるでしょ!?」

『みんな心配してる』

「…ごめん」



馬に乗せられ、私はサハルドの腰に腕を回した。


お花畑の彼が立っていた場所を見えなくなるまで見続けた。


でも、やっぱりもう彼の姿を見ることは出来なかった。





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