月夜の太陽
ロナウドは優しく微笑み、口を開いた。



『ローズ様たちとお茶をしている時に気付かれたんですか?』

「えぇ、そうです」

『ルナのその洞察力はご両親から受け継いだものなのでしょうね。貴女を脅してまで婚約者になったのは、自分の心を押し殺してでも守りたい大切なものがあるからですよ。でも………』

「……でも?」

『ここへあのお方が訪れると知って、押し殺していた心が騒ぎ出してしまったんです。一目だけでいい…一目だけでいいからアマンダ様とお会いしたいと…思ってしまいました』



今にも泣いてしまいそうな、切ない笑みを見せるロナウド。


素直なロナウドの気持ち。


アマンダさんを見るときのロナウドの目は、時折複雑そうな…だけど、どこか幸せそうな目をしていた……。



「私と婚約を結ぶことで何を守りたかったのですか?」

『……母を守りたかったのです…………父から』

「えっ…どういう事ですか!?」

『今からお話しすることは他言無用でお願いできますか?』

「勿論です」



ロナウドは立ち上がり部屋の中を一周し、誰にも聞かれていないか入念に確認すると再びソファーに腰掛け口を開いた。






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