月夜の太陽
困った表情のロナウドを見ると、余計にどうしていいのか分からなくて、涙が溢れる。



『残念ながら、私たちにはどうすることも出来ない。ただ祈るだけだよ…ソルにそんな場面が訪れないことを……』

「ただ…祈る、ことしかできないの?未然、にッッ防ぐことはできないの?」

『未然に防ぐためにはソルにこの状況を話すしかない』



ソルに話をするなんて…そんな事できない。


そんなことをすればソルをこちらの世界へ引きずり込むことになる。


それに、今度こそ殺されてしまうかもしれない。



『私は今以上に用心深く父の動きを気に掛けるようにする。少しでもソルが関わっていそうなことがあればステラを使ってルナに連絡するよ』

「…あり、がとう」

『もし私に万が一のことがあっても、ステラは暫く生きていられる。だから、何があってもステラだけはルナの元へ行かせるよ』

「そんな縁起の悪い事言わないでッッ!!気持ちは嬉しいけど、私の為に危険を冒すようなことはしないで」



その時のロナウドの笑みがあまりにも優しくて、やっぱり私は泣いてしまった。



「ステラ…これから宜しくね」



涙は相変わらず零れているが、笑ってステラに話しかけるとステラも宜しくと言ってくれているかのように、丸めた手を私の手の甲でポンポンと叩いている。


心強い仲間が1人増えたなと思うと、少し心が落ち着いた感じがした。





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