月夜の太陽
◇意志を受け継ぐ者

母親

カーテンを少し開け、そっと外を覗くと賑やかな町並みが見える。


ウェルヴィアとは違う雰囲気。


私は約3日間馬車に揺られ、デトイス国の領土へと入り、今はデトイス国の民で賑わう城下町をゆっくりと進んでいる。



「ルナ様、あまり外を見ておりましたら気付かれてしまいます」

「あ、うん。そうだね」



馬車にはラキも一緒に乗っている。


いつもはお母様の傍にいるラキだけど、初めての遠出で心配だからとお母様がラキに私についていって欲しいとお願いをしたから。


私としてもラキが一緒なら心なしか安心して構えていられる。



「ラキ、付いてきてくれてありがとう」

「何をおっしゃいますか、ルナ様とお供させて頂けて嬉しいです」

「私が粗相をしないように目を見張っててね」

「勿論です」



私の不安な気持ちを感じ取ってくれているのか、安心させるように笑ってくれるラキ。


ラキとお母様はどこか少し似ている。


いつも一緒にいるから似ているのかもしれない。





< 215 / 471 >

この作品をシェア

pagetop