月夜の太陽
『お気に召しませんでしたかな?』

「ビリー様」



ロナウドのお父様のビリー様が満面の笑みを浮かべ、私たちの元へと歩み寄ってきた。


ロナウドの雰囲気が私が毛嫌いしていた時の雰囲気へと変わった。


自分の城にいるというのにこの人は長い間気を緩めずに過ごしてきたんだわ。



『バンパイア界の王と王妃であるシエル様とローズ様の大切なお嬢様ですから、このぐらいの誠意を持ってお出迎えせねばと思ったのですが』

「お心遣いありがとうございます。ですが、婚約者であるロナウドが迎えてくれるだけで十分私の心は満たされますので、今後はこのようなお気遣いを頂かなくとも大丈夫ですわ」

『その言葉を聞いて安心致しました。ロナウドとは上手くいっているようですな』

「それはもう、周りが呆れてしまうほど順調ですわ」



私が笑って答えるとビリー様は満足気な笑顔で返してくれた。


私の一挙一動で恐らくロナウドのお母様への対応も変わってくるのだろう。


そう思うと、下手な事はできない。


私も出来る限りロナウドの力になってあげたい。





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