月夜の太陽
私の準備は終わり、今はエレナがドレッサーの前に座り、ラキに髪の毛を結ってもらっている。



「エレナ様ご挨拶が遅くなってしまいましたが、私このお城で副女官長を務めておりますラキと申します」

「あたしの方こそご挨拶が遅くなってすみませんッッ、エレナです」

「ルナ様から伺っていた通り、元気で明るい方ですね」



ラキの笑顔につられるかのようにエレナも微笑み返す。


こういう和やかな場面を自分の部屋で見ていることが不思議。


私の部屋に友達がいる。


家とは何の関係もない、純粋にできた友達が。



「サハルドからはエレナたちの話は聞いてないの?」

「あの子がベラベラと話をすると思いますか?」

「それもそうね。サハルドの性格上そんな話はしなさそう」



私とラキがクスクス笑っていると、エレナは1人不思議そうな顔をしていた。



「サハルドはラキの息子なの」

「えぇ!?……似てないですね」

「そうなんです、サハルドは主人にそっくりですから」







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