月夜の太陽
ラキが手を叩くと部屋の中にドレスや靴が運び込まれた。



「エレナ様のお召し物をお持ち致しました。お好きなものをお選び下さい」

「いえッッこんな高そうなものじゃなくていいです」

「申し訳ございません。他にご用意がないのでこちらで我慢して頂けないでしょうか」



誰かを着飾ることが大好きなラキが、エレナをイメージして選んだものだろう。


エレナは困惑していたが、私はエレナの手を取りドレスの前まで足を進めた。



「どれもエレナに似合うと思う。一緒に選ぼう?」

「でも………」

「気にしなくていいよ。ね?」



エレナは渋々という感じだったが、私はラキと一緒にワイワイ騒ぎながらドレスを選んだ。


そんな私たちを見て、エレナもいつもの笑顔を見せてくれた。


こんなに賑やかにみんなで笑い合ったのは久しぶり。






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