月夜の太陽
シエル様もdarkmoonを恨んでいるに違いない。


だとすれば、俺のことも少なからず恨んでいるだろう。



『カインが初めてだった』

『……何がですか?』

『決着が付かなかった相手だ。だが、決着が付かなかったことよりも許せないことがある』

『許せないこと?』

『奴がローズの心の中で生き続ける事だ』



やはり、ローズ様は恨んでいないようなことを言っていたが、実は心の底ではそんな事はないのかもしれない。


お優しい方だから俺に気を遣ったのかもしれない。



『死に際に奴はこう言ったそうだ…"愛している"と』

『それは…ローズ様に対してですか?』

『あぁ、ローズの膝の上に横たわるカインはムカつくほど穏やかで幸せそうな顔をしていた。まるで眠っているかのようだった』



父親が愛した女性の子供を愛した俺。


皮肉な話だ………。






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