月夜の太陽
腕を揺すられ顔を向けると、そこには目をキラキラさせたエレナの顔があった。



「それで、どうなの??」

「それは………」



ちらっとお母様の方を盗み見ると、ラキとのお喋りに花を咲かせていてこちらのことは気にしていないようだ。



「いつも優しいけど、2人でいるときはもっと優しいよ?ソルが目を細めて笑うと嬉しすぎて倒れちゃいそうになる」

「ソルが目を細めて……笑う?」

「うん。2人でいる時はあまり難しい顔はしないよ」



さっきまで冷やかすように話していたエレナが急に安心したように頬を緩ませ微笑むものだから、私は恥ずかしくなってそれを誤魔化す様にカップに手を掛け口へ運んだ。


エレナは瞼を閉じ、味わうかのようにゆっくりと喉元を動かしお茶を流し込んでいた。



「やっとソルは気を休められる場所をみつけたんだね」

「え?」

「ソルは表面に感情を出さないし、仏頂面だし周りに気を遣ってるようには見えないけど、誰よりも周りの事を考えてる。だから知らず知らずの内に甘えちゃうんだよね。だけど、私たちにはソルが甘えられる場所を作ってあげられなかった…でも今はルナがいる……ソルの傍には」

「私だけじゃないよ、ソルの心を包んでるのは。家族の存在もとても大きいんだと思う。みんなの話をする時のソルはとっても楽しそうなの…だから、そんなソルを見てると私まで楽しくなっちゃう」

「ソルにはこれからもっともっと幸せになってもらいたい…ルナと一緒にね」



私はカップを置き、エレナに小指を差し出した。






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