月夜の太陽
ルナを抱きかかえ、ローズ様の元へと急いだ。


驚くほど体は軽く、自分の体じゃないようだった。



「ルナッッ!!」

『すみませんローズ様……ルナをお願いします』



力強く頷いてくれたローズ様にルナを渡し、直ぐにレイドの元へと足を進めた。


崩れた壁が散らばっている場所に立っているレイドの服は汚れ、綺麗な顔も砂埃のせいで汚れていた。


奴は口元を袖で拭いながら俺を睨みつける。



『出し惜しみしてたのか』

『そんな事はどうでもいい』

『今すぐ殺してやる』



レイドは剣を引き抜くと今までとは比べ物にならないくらいの速さで詰め寄ってきた。


俺も剣で応戦し、再び剣を交えた。


お互い力を込めた剣をぶつけたまま至近距離でのいがみ合いが続く。


その場を動くことなく靴のかかとが少しずつ地面に減り込んでいく。


引けない…引くわけにはいかない、絶対に。






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