月夜の太陽
ノックも無しにいきなりドアが開き、驚きのあまり肩が跳び跳ねてしまった。


私の姿を見るなりサハルドは慌てて傍に駆け寄ってきてくれた。



『大丈夫か!?』

「うん…体がいうこときいてくれなくて……」

『当たり前だ。酷い出血だったんだからな』



そうだ……私、刺されたんだった。


サハルドに言われるまで忘れてた。


私の体を抱き抱え、ベッドに優しく寝かせてくれるサハルド。



「ありがとう」

『何しようとして落ちたんだ』

「……ソルの傍に行きたくて」



私のベッドに座っているサハルド越しにソルを見詰めた。


外傷は特になくただ眠っているだけのように見えるが、私が気を失っている間に一体何が起こったんだろう。



『人の心配をする暇があるなら自分の心配をしろ。お前もまだ万全じゃないんだからな』

「サハルドは平気?」

『あぁ、俺は何ともない』

「良かった…無事に帰って来てくれて」



笑ってそう伝えると布団から出していた私の手を握り、サハルドも温かい笑顔を向けてくれた。


サハルドとこうして話をするのは久しぶり。


年下だけど私よりもしっかりしていて弟の様な兄の様な不思議な存在。


サハルドからは手の掛かる妹の様に思われているかもしれない。






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