月夜の太陽
リオが私の横に腰掛けると、ベッドが少しきしむ音がした。


ソファーに座ってみる景色よりも、ここに座ってみる景色の方が何故か好きで、2人で静かにカーテンの開いた窓から外の夜景を眺めた。


今日は星はあまり出ておらず、綺麗な夜空とは言いがたい。



『ロナウドさんとは連絡を取っているの』

「うん、イエラ様とビリー様は幸せそうにいつも温室で過ごしているみたい」

『今のビリー様にとってはそれが一番の治療だろうね』

「私もそう思う」



ソルが殺したと思っていたビリー様が生きていると聞いたときは驚きのあまり言葉を失った。


サハルドからソルが肉体を酷使したと聞いた時はあまりピンとこなかったが、ビリー様が生きていると聞いてなんとなく理解することができた。


ソルがどうやってビリー様を救ったのかは今のところ誰も分かっていないが、その時の代償でソルが目を覚まさないのだということは皆薄々気付いている。


ビリー様も生きてはいるが、言葉を発することも表情を変えることもなく、ただただ今は人形のように過ごしている。


だけど生きていることに変わりはなくて、イエラ様は涙を流しながら一生懸命謝罪し、涙を流しながら喜んでいたそうだ。


ソル……ソルのお陰でイエラ様もロナウドも、みんな笑顔になれたんだよ。


笑顔になれないのは私だけ……私が笑顔になる方法は貴方が一番よく知ってる………ねぇ、そうでしょ?






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