月夜の太陽
目覚めたときの賑やかな時間とは打って変わって、今は開けている窓から生暖かい風を後ろから感じながら1人ベッドに座っていた。


三日月の微かな光とスタンドライトの温かい間接照明が広い部屋をほんの少し照らしている。


外に行って直に風を浴び、澄んだ空気を肺の中に流し込みたいがまだ体が言うことをきいてくれない。


血を接種していくうちによくなるらしいが、体のことよりも気がかりなのはルナのことだった。


結局皆がいる時間に姿を現すことはなく、まだ会えていない。


そろそろ寝ようとスタンドに手を伸ばした時、ドアが静かにノックされた。


直感でルナだと思った。


だけど同時に胸騒ぎがして、一瞬もう寝たことにしようかと考えたが会いたい気持ちの方が勝っていた俺は素直に返事をした。



「……寝てた?」

『いいや、起きてた』



この部屋に入ってくる時に彼女は笑顔をくれると思っていた。


でも笑顔どころか大きな表情の変化はなく、真顔とまではいかないがそれに近い表情だった。






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