月夜の太陽
『動くなよ。楽に死にたいだろ?』



全員慣れた手つきでナイフを両手に持ち、的を見るかのように俺に視線を向ける。


ナイフが飛び交う中、避けるだけで精一杯だった。


あのナイフで傷付けられたら恐らく自然治癒には期待できない。



『ッッ!!』



ナイフが右の太股に刺さり、その場に倒れこんでしまった。


立とうとするが、上手く足が動かない。



『無駄だ、痺れ薬を塗ってある。銀と薬は相性がいい』



銀か…どうりで傷の治りが遅いわけだ。


バンパイアの血が濃ければ濃いほど銀の効果は高まる。


男たちがゆっくりと近付いてくる。


俺はここで死ぬのか…。


…………ルナ。




『随分えげつねぇやり方だな』






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