シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
私の勤める『笠島興行』は、国内のレジャー施設や大型ショッピングモール等を建築、運営する、比較的名の知れた一流企業である。

本社だけでも数百人に上る社員のうちの一人に過ぎない私なんかが、社長の一人息子である、雲の上の人のような存在である専務に、いくら恋をしても初めからそんな事は成立しないのだ。

…分かってる、よく、分かってるの。

だけど、どうしても彼を見かける度に胸の奥から沸き出る想いを止められなかった。

キリリと冴える綺麗な目。

サラリと揺れる黒い髪。

長い手足の動きや仕草は優雅で、育ちの良さが溢れてる。

私の他にも沢山の女性社員達が彼に憧れているけれど、実際、私みたいに本気で恋している人なんているかしら…。

みんな、初めから現実的ではない目で彼を見ている様な気がする。

だって、何もかもがあり得ないんだもの。




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