シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
「瑠奈…、笑って?」

え?彼が突然耳の側で囁く。

「笑顔が見たい。君の。
せめて、…今だけは。

君の笑った顔を、目に焼き付けたいんだ」

そう言って彼は哀しく綺麗な笑顔を見せた。

「圭吾…。…え…?」

彼の瞳から綺麗な涙の雫がポロリと一滴、流れ落ちた。

「………!」

私は驚いて、自分の目を疑った。

専務が…泣いてる…。

私の事を想って、悲しんでいる…。

「圭吾…?」

呼び掛けると彼は柔らかく無理に笑顔をつくり、私に笑って見せる。

私は堪らなくなり彼の頭を胸の中にギュッと抱えて閉じ込めた。


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