ちぐはぐ遠距離恋愛



「え…っ」


通りすがりにあたしの耳元で言った諒太。


「ちょ、ちょっと待って」


あたしは諒太を追いかけ服を引っ張った。


「今の、どういう意味?」

「別に」

「別にって、またそうやって逃げるの?」

「逃げてなんか「目を逸らすな!」


諒太がそう言ったあたしをじっと見つめる。

将ちゃんに似た目。
――見てるこっちが恥ずかしくなっちゃう。


「俺何か言ったっけ」

「今さら何言ってんの?近づくなよって…言ったじゃん」

「大野」


体が反応する。


「だから、呼ばないでよ」

「は?てか、帰っていい?」

「ちょっとまだ話は…っ」


だけど諒太はあたしの腕を払った。


「じゃあな、大野」

「……っ」

「せいぜい仲良くな、先輩と兄貴と」



あたしの頭は、真っ白になった。



今、なんて………?



動こうとしない脳は、必死で答えを探す。



あたしが好きなのは、


あんたなのに……。




「真白ちゃん?」



高杉先輩があたしの肩に手を置く。



「馬鹿っ!!」



あたしはそう口にして、諒太とは反対方向に走り出す。



何なの?

皆して……。



もう疲れた。



何故か先輩にドキドキしちゃうのも、


将ちゃんに頼ってるのも、


諒太を嫌いになれない自分も、




何もかも、


今のあたしを壊していく。




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