ちぐはぐ遠距離恋愛
水戸の目の前に立つ。
こんなやつより、男らしいのに……。
身長で勝てないことが悔しい。
仕方なく、下から水戸を睨みつける。
「お、大野……?」
「男、男って…、いい加減にしろよ」
「ま…真白、落ち着いて?」
奈緒美の手を振りほどき、右手を水戸の襟に持っていく――――。
そうしようとした。
だけどあたしは自分でブレーキをかけて寸前で手を止める。
そんな動作に舞たちがホッとしたように安堵の表情を見せた。
頑張って腕は止めたものの、
あたしの心にブレーキは効かなかった。
「あたしは…っ」
あたしは、
れっきとした女子だ。
「男子なんかじゃない」
「お、…おう」
水戸は焦った顔で頷く。
(でも、男子のようにしかなれないの…)
それを、誰かに分かって欲しかった。
むしろ、皆が知っていて欲しかった。
気を使うとか、
どうしてできないわけ?
「あたしは…っ、女子になろうと頑張ってるんだよ!」
それは、
軽く理不尽な思いも全て混ぜこんだ言葉。
苦々しさを残して、
やっと体内から吐き出された。