ちぐはぐ遠距離恋愛
「どこでもいいでしょ!」
下を向いて吐き捨てるように言うあたし。
だけど諒太はそんなのお構いなしにあたしの行く手を防ぐ。
右に行けば諒太は左に動き、
あたしが左に行けば、右に動く。
だんだんとイライラが積もっていく。
「どいてよ」
「お前がどけば?」
カチンッ!!
フッと鼻で笑った諒太を見て、体中の血が頭に上った。
水戸を叩いた右手にもう一度力を込める。
そして――――
バチン……っ!!!!
「邪魔なんだよ馬鹿!!!!」
屋上に駆け上がった。
諒太を叩いた手がヒリヒリと痛む。
(何であたしが、痛い思いしなきゃいけないの?)
手を開いたり閉じたりする。
「もう…嫌だ…っ」
あたしが本当に嫌いなのは、今の自分だった。
なのに、これじゃあ…ただの八つ当たりだ。