ちぐはぐ遠距離恋愛



――――「もてき?」




時期は夏休み前日の前。





奈緒美が目をキラキラさせて言った。


「あたしのモテ期はね、十二歳と、来年と、十九歳に来るんだって」

「もう一回過ぎちゃってるじゃん」


依弥がそういう。


「いいの〜」

「てかさ、ちょっと待って。もてき、って何?」




あたしの言葉に三人が口を閉じた。




(あたし、変なこと言った?)




どうやら世間一般ではもう常識のようになっているらしい。




「まっしー、それは舞でも知ってるよ」

「へぇ…。で、何?」

「だから言葉のまんまよ!」



奈緒美がメモ帳に『モテ期』と大きく書いた。



「ふーん、こうやって書くんだ」

「…はぁっ」



奈緒美が頭を抱える。



「真白、遅れてる」

「別にこんなん知ってなくても生きていけるじゃん」
「それがさ、世の中の女子には大っ切な情報なんだよ」



(世の中の、――女の子)



ピクリと反応する体。




「真白はこのままでいいの?」

「え?」

「女子になりたいんでしょ?」




ビシィッと稲妻が落ちた。


こくこくと頭だけを動かす。




「よしきた!モテ期を知ったら、好きな人とも結ばれたり……もちろん運命の相手と出会うこともあるわけ」

「運命の人?そんなんいるわけ「それでウチ、真白のも調べたの!」

「は?!」




びっくり発言、でました。




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