ちぐはぐ遠距離恋愛
(あたし馬鹿だ…)
「村野これ、誰かに殴られたの?」
遥菜の言葉がグサリと刺さる。
その時、諒太と目があった。
諒太は目を一瞬見開いたけど、すぐに戻してフッと笑みを浮かべた。
「別に何でもいいだろ?」
「え、良くないよぉ。誰?まさか、真白?」
「は?」
(おいおい、ちょっと待った。
何でそこですぐにあたしの名前が出てくるの?)
「ちげーよ」
諒太はあたしの顔を見て微笑みながら言った。
まるで、
あたしを庇って安心させるかのように…。
(何考えてんの?)
あたしはブンブン頭を振る。
(別に犯人はあたしだって言ってもよかったのに)
「村野?何笑ってんの?」
「別に。いいから離れろよ」
「あ、うん」
遥菜が諒太から離れた。
それを見てホッとしてしまう。
自然消滅―――
一体、いつできるのか。
それはまたまだ遠い話のように感じた。
もうすぐそこまで来ているというのに……。