若恋【完】
わたしの服に飛び散っている血と匂いにひかるはびっくりして声を上げた。
「わたしはケガしてないよ。ひかるはケガしてない?怖くなかった?」
「うん、助けてくれるって信じてたから」
「そう」
それきり言葉が続かない…。
ひかるの目が見られない。
何を言われてもそれを受け止める覚悟はできたはずだったのに、いざ、目の前にひかるがいると揺らいでしまう。
「お姉ちゃん、」
「…なに?」
ひかるに呪われる言葉を言われるって覚悟して見つめ返す。
「ねえ、お姉ちゃん、あのひとがわたしたちのお兄ちゃんなの?」
―――え?
わたしの側には、同じく血で濡れた服を着た榊さんがいて。
それを見たひかるがお兄ちゃんは榊さんだと勘違いしたらしかった。