若恋【完】


「お姉ちゃん、あのひとがわたしたちのお兄ちゃんなの?」


「すいません。わたしは榊という者で、あなたがたの兄ではありません」

わたしがあれこれと説明をしようとしたより榊さんが否定してくれた。



「ほら、彼があなた方の兄の仁ですよ」

スッと指差してわたしもひかるも指の先にいるひとを見る。



「ひかる、仁お兄ちゃんだよ」



わたしはひかるの背を押す。

「仁お兄ちゃん?」

「そう」

「お父さんに…似てる…」



少し離れたところにいた仁お兄ちゃんがヒクリと肩を震わせた。



「仁お兄ちゃんだよ」

「―――お兄ちゃん?」

「ひかる?」


仁お兄ちゃんも戸惑って近寄ってこない。


「ひかるだよ、仁お兄ちゃん」


ひかるを連れて仁お兄ちゃんのところへ戻る。



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