若恋【完】
「明日、明後日には屋敷に連れ帰る」
「…仕方ありませんね。承知しました」
「文句は言わないのか?」
「これ以上言っても無駄でしょう。若の性格はわかってますから」
身を捩ると深いため息がしてあの人が振り向いた。
「気がついたか?」
わたしの顔を心配げに覗き込む。
「痛むか?」
右の指は分厚い包帯でぐるぐる巻き。
左腕もしびれて感覚がない。体が熱い。
「熱があがってきてる。まだ上がるだろう。どうすれば楽になれる?」
熱い。体がバラバラになりそう。
寝台から見上げるあの人は歩道に乗り上げてきた車から降りてきた時とは違う雰囲気だった。
最初に見た氷のような冷たい印象が今はなくて。
「大丈夫か?」
戸惑うように瞳が揺れた。