若恋【完】
小さく疲れたような笑みを見せる。
「奏さん?」
腕を伸ばしてみてわたしの腕に点滴のチューブが張ってあることに気づいた。
「点滴?」
「無茶ばかりするからだ」
半分怒ったような声で半分呆れたような声だった。
「なんで飛び込んできたんだ?」
そう言われてはじめて、奏さんのお父さんと奏さんの間に飛び込んだんだって思い出した。
奏さんが怒るのも無理ないかも。
でもあのままじゃ、奏さんはお父さんを斬ってしまってた。
最悪の事態は防げたんだからまあ良くないけどいっか?
「何が良くないけどいっかなんだよ。良いわけないだろ。ひとつ間違えば死んでたかもしれねぇんだぞ」
「…」
「親父がおまえを抱えて転がらなかったらどうなってたと思うんだ」