若恋【完】
息を殺してふたりが出ていくのを待ったけれど、ふたりの気配はなくならない。
なにかゴソゴソとしてる。
「デ、わたしはどっちを殺ればいいノ?」
イントネーションが変わってるそんな声が聞こえた。
(えっ?)
声が上がりそうになって仁お兄ちゃんに口ごと押さえつけられた。
声を出したらヤバいってことぐらいわかる。
(黙ってろ)
うん、うん、頷いた。
「わたしガ大神の親父だから、アンタは大神の息子デショ」
「やだ、やりたくナーイ」
「仕事なんだから仕方ナイデショ。はい、これ渡しトクワ」
カチャリと重い金属の音がした。
もうひとりが受け取ったらしい。
「ねえ、こんなお粗末なのシカナカッタノ?」
「文句イワナイでよ」
「ボスはわたしたちにはコレシカくれなかったンダカラ」
「いつの時代のモノよ、ロシア製なんて」
「!」