若恋【完】

わたしが出ていこうとするのを仁お兄ちゃんが首を振って止めた。

(なんでだめなの?)

今飛び出せばひとりは取り押さえることできるよ?

それなのに仁お兄ちゃんは唇を噛んで厳しい表情をしながらもわたしが飛び出すのを制していた。

(続きを聞こう)




「大神オヤコを殺るマエに失敗したら?」

「ボスからは毒、砒素飲めッテ渡されてるワ」

「フザケナイで。ワタシは飲まないワよ」

「拷問サレて手足斬り落とされルくらいなら死んだほうがマシかもよ」

「死んだラ終わりよ?クニへ帰れないのよ?」

「でも失敗したらコロサレるわ。ドッチも同じよ」

「………」

「さあ。クスリ受け取りなさいネ」

「…………」




ゴソゴソと紙の音がしてたけど、それもすぐにしなくなり、イントネーションの違うふたりもレディースルームから去って行ったみたいだった。

物音がしなくなる。



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