若恋【完】
「利用されただけで、用が済めばあとは重石をつけて海にでも沈められるだけなのにな」
「そ、そんな」
「で、なければ。山に埋められてしまうか。硝酸で溶かされてしまうか」
「やだ、そんなの」
「どっちにしろ。計画が進めば命はないがな」
そう言って、深いため息を吐き出した奏さんの胸をギュッと掴む。
「奏さんもお父さんもお兄さんも助かって彼女たちも助かる方法はないの?」
「両方は…難しいか」
「だな」
「…黒幕を引っ張りだせたら勝ちなんだがな」
「できるか?」
「難しいな」
「?」
わたしを包んだまま奏さんが瞬きをする。
「俺を殺して親父を殺して笑う人物ってのは絞られてくるな」
「東の森内か、西の狩野か」
「この先また狙われても敵わないからな。あぶり出すなら今がチャンスだろ」
奏さんと仁お兄ちゃんが頭の中で大神物産、大神組の勢力図を広げてる。