若恋【完】
「りお、」
「ん?」
「お前は部屋に戻れ」
奏さんが命令する。
「危ないことにはおまえを巻き込みたくねえ。部屋に戻ってろ」
「奏さん」
「挨拶が済んだら部屋に戻って一歩も出るな。いいな」
わたしを巻き込まないようにと奏さんが厳しく言う。
「やだ、」
「聞き分けろ」
「だって。彼女たちをわかるのわたしと仁お兄ちゃんだけだもの」
「!」
ピクリ
奏さんが反応した。
「姿はわからないけど、声はわかるもの。ね、仁お兄ちゃん」
「ああ、そうだな」
「話をしてるのを聞けば誰なのかわかるわ」
だから。
追い出したりしないで。
奏さんのそばにいるのを拒否したりしないで。
お願い―――