若恋【完】


雑技団の人たちはわたしたちが想像つかないくらい身軽だった。

控え室と言ってもかなりの広さがあってそれぞれにストレッチしてた。



「大神さま、この度はありがとうございました」

そんな挨拶を奏さんと団長?支配人?が交わしてる間に、わたしと仁お兄ちゃんは奏さんを狙うと言ってたふたりを探していた。


化粧を念入りにしてる女性もいる。

髪をまとめてもらってるひとも、ストレッチをしてる女性もいた。



「仁お兄ちゃん、わかる?」

「いや、まだわからない」

「話をしなきゃわからないよ。どうしよう」


声の主がわからない。

見ただけじゃわからないのも当然なんだけど。



わたしがうろうろし始めたらわたしに気づいた年配の女性が、

「ビューティフルきもの!」

と、わたしに手を広げて満面の笑みを浮かべて近づいてきた。

ビクッ




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