若恋【完】



「わたしと桃花を助けてくれる?」

「はい」

「祖国に戻りたいの。子どもが待ってるの」

「帰りましょう、お手伝いします」



息が出来るようになってふたりの手のひらを握りしめる。


日本の闇に包まれた彼女たちの孤独。
差し伸べられた手を取るのは勇気が必要だったに違いない。



「アリガトウ」

「わたしこそありがとう。桐花さんと桃花さんがいてくれたからわたしは愛するひとを守ることができる」

「………」

「ふたりが話をしてなかったら大事なひとを失ってたかもしれないから、
ありがとう」

「………」

「みんなを守れてよかった」

ただ、それだけ。

それだけでいい。

みんなの運命が変わる。

彼女たちは祖国の子供たちのもとへ。

わたしは愛するひとを失わずに済み。

大神物産、大神組を守れる。



「ありがとう」



―――ありがとう





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