若恋【完】
桐花さんと桃花さんから毒の入った袋だけをもらい、
「パーティーが終わるまでは内鍵をかって一歩も外へ出ないでね。ここが一番安全だから」
言い置いて部屋を出た。
出た瞬間に、
「りお」
半泣きの顔がまだ残ってたわたしをいきなり抱き締めたひと。
「…奏さん?」
その優しい腕を知ってる。
いつだってわたしを見ててくれるその黒曜石の瞳も今は濡れたように光ってて。
「りお」
無事でよかった。
「うん」
「あんまりいちゃつくなよ」
う?
突然の声は真上からした。
「仁お兄ちゃん?」
「りお、おまえやっぱり殺される一歩手前だったじゃねえか」
「な、なんでそれ」
わかるの?わかってるの?
「今度はそんな危ねえ真似絶対させねえからな!」
奏さんの腕の中にいるわたしを説教しはじめた。
「無茶するな」
「はい、ごめんなさい」
「どうせしおらしくするのも今だけなんだろが」