若恋【完】
「りおはどう思う?」
え?わたし?
「どう思う?」
そう聞かれてもわからない。
一般人のわたしには森内って名の人も知らない。
「わたしはその森内って人知らないけど、もしその人が他のひとと手を組んでるのだとしたら、自分が危機的状況になれば助けを求めたりしないかな?」
「森内を危機的状況に追い込む、…か」
奏さんわたしの顔を覗きこむようにして額にくちづけ、それから口の端をあげた。
「なあ榊、仁が今手にしてる毒を森内の目の前に出してやるってのはどうだ?」
「そうですね。若、それならば毒を飲めと言われて簡単に飲めるわけはありませんからね。仲間がいるとしたら助けを求めるでしょう。
そのまえに、森内の計画が頓挫した時点で逃げ出してるでしょうか?」
榊さんは奏さんに向き直りふたりは仁お兄ちゃんをみた。
「仁の野性的な勘はどうだ?」