若恋【完】
「そうですねぇ、森内ならばショーの最中に殺れなかったら身の危険を感じてすぐに会場を抜け出すでしょうね」
「榊さん!」
すぐ自分の後ろに榊さんが立っていて、思わず声を上げたことに自分でも驚いて口を押さえた。
「若、組長も何か不穏な動きがあると察知してましたよ。で、わたしも動いてみたわけなんですが」
「で、どうだった?」
「森内ひとりの動きにしては事が大がかりではないかと」
「…森内の他にもいると?」
「さあ。それはまだなんとも」
榊さんは苦笑いした。
さりげなくポケットから懐中時計を取りだし時間を確認してる。
「時間はあと20分です」
若、どうしますか?
「仁はどう思う?」
話を振られた仁お兄ちゃんは顔を歪めて笑った。
「森内を締め上げて吐かせればいいだけだろ?」
「口を割りますかね」