危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
時間は短くても、涼とお出かけ出来るんだから……


参考書を買うぐらいのお金はあるし、格好悪いけど、“やっぱり行こう?”って言おうかなあ。


階段の上を見上げながら、しばし迷った末に、やっぱり涼に言おうと決めて、階段に足を乗せ掛けた瞬間、誰かに肩をポンと叩かれた。


「ひゃっ」


「ごめん、驚いた?」


振り向くと、章さんが立っていた。


「あ、こんばんは」


「勉強は終わったんだよね?」


「は、はい、一応は……」


「じゃあ、駅まで送ってくよ」


「いいえ、大丈夫です」


本屋さんは諦めようっと。


私はもう一度階段の上を見上げてから、トボトボと玄関へと向かった。


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