Addict -中毒-
ドキリとした。
何故そのことを……?
そう目で聞いたけど、彼は何も答えてくれなかった。
「俺、鼻は良い方なのよ?綺麗な月下美人につられてふらふら~っとね」
わざとチャラけて言ったけれど、この男……
鋭い。
ナイトクイーンは別名、月下美人。
「詳しいのね」
相手のペースに飲まれっぱなしの自分が嫌で、何とか切り返す。
「まぁね。甘い蜜に誘われて蝶のようにふらふら♪」
「あんたは蛾よ。光にむらがる蛾」
私の嫌味に、彼はおかしそうに笑った。
「うまいこと言うね。やっぱおもしれぇ」
「女性に向かっておもしろい、は口説き文句にもならないわ。もう少しお勉強して出直してくるのね。
ぼーや」
私は人差し指で彼の顎を持ち上げると、挑発的に笑ってやった。