Addict -中毒-
私たちは「とりあえず」と言う事で、近くのファーストフード店に入った。
セルフサービスのカウンターで注文を受けてくれた女の子はアルバイトだろうか、化粧けのない素朴な感じの高校生だった。
でも輝くような笑顔が可愛い。
よく見ると、カウンターの店員はほとんどが高校生から大学生と言った若い子たちばかり。
そう思うと、高校生ばかり目がいってどうにも気恥ずかしい気持ちになった。
「このセットと、ポテトLサイズ」
「お飲み物はどうされますか?」
「ジンジャーエールでいいよね」
なんて啓人は慣れた口調で勝手に答えている。
確かにジンジャーエールは好きだけど。私はそんなこと一言も啓人に言ってない。
「私が他の飲み物がいいっていったらどうするのよ」
こうまで言い当てられて、ちょっと面白く無さそうに口を尖らせて啓人を軽く睨むと、
「だって紫利さんシャンディーガフ好きじゃん」
啓人はさらりと言って、あたしは目をまばたいた。
さりげなく―――小さなことまで覚えていてくれる。
茶色の小瓶だってそうだった。
ファーストフード特有の素早さでトレイにハンバーガーやらポテトが乗せられ、
「ほら、行こうぜ」
啓人が受け取り、さりげなく私を促して私の背中を軽く押した。
ホント……どこに居ても何をしても
いちいち様になるオトコ。