Addict -中毒-
私たちは店の奥に落ち着くことになった。
まだ夕方の時刻で、店内には高校生をはじめとする若者がそれぞれ食事を楽しんでいた。
私たちのすぐ近くにも、五、六人の男子高生たちが固まってハンバーガーにかぶりついている。
彼らの足元には大きなスポーツバッグが置いてあって、冬だと言うのに日焼けした肌や、坊主に近い短い髪を見て、彼らが部活の帰りであることに気付いた。
部活帰りの彼らはおなかをすかせているのか、明るく喋りながらもひたすらハンバーガーにかぶりついている。
その旺盛な食欲を見て少し驚いたものの、豪快とも呼べるその食べ方はいっそ気持ちがよかった。
ちなみに私たちはそれぞれのハンバーガー+ポテトLサイズを二人で半分こ。
啓人は身長もあるし、もっと食べるかと思いきや、
「昔はそれなりに食ってたよ~、でも最近胃がもたれるんだよね」
とまたもおっさん発言。
人のことは言えない。私も十代の頃に比べて油モノを受け付けなくなった。
「歳を取るっていやね」
なんとなくこぼしてハンバーガーの包みを剥くと、
「気にしすぎだって。大体紫利さん歳とったなんて言うけどさ~、まだ全然だって。
それに俺は大人な女が好きだから何も問題ないじゃん」
と向かい側で啓人が明るく笑う。
「あんたが問題なくても、私がいやなの」
ちょっとむくれていると、
「周りなんて気にするなよ。
大体人間なんて歳を食わないやつは居ないんだしさ。
相手がいいって言ってるならそれだけで充分じゃない?」
啓人は高校生の子たちと負けず劣らず、大きな口を開けてがぶりとハンバーガーにかぶりついた。