記憶の中で… 2
傍で見ていたユイちゃんがやたら、「いいなあ。」と連発する。
「まるで新婚旅行じゃん。それに家じゃイチャイチャできないから、さぞかし楽しめることでしょうねえ?」
ニヤリと悪戯っぽく笑うユイちゃんに、「ユイ!!」とユキが怒った。
「キャー!」と逃げるユイちゃんが部屋を出る時、「お土産一杯待ってるよん。」と言った。
何だかんだと喧嘩してもやっぱり兄弟ていいな。
俺も家族と住んでたら、あんな感じなんだろうか。
一学期の終業式が終わり、その日の午後、ユキと二人で空港へ向かった。
おばさんは見送りに行くと言ってくれたけど、そんな事をすれば帰りは遅くなる。出発も夜の便だからと、玄関先で別れた。