記憶の中で… 2


初めての二人きりの旅行。
ドキドキしていた。

ユキは飛行機に乗るのが初めてだと言って、随分はしゃいでいた。

「ねえ、お土産って本当に梅干しでいいのかな?他の物もあった方がいい?」

「あー、梅干しでいい、いい。あっちじゃ中々手に入らないから。」

「ドイツまで何時間位かかるの?時差ボケとかなっちゃうかなあ。」

「あっちはお城とか多いんだよね?どんなの?ナツキは行った事あるの?」

「美味しい食べ物は何があるの?ワインとか飲んじゃってもいいかなあ。」

返事をするのも疲れてきて黙っていると、「聞いてるの?」と言われた。

「いや。聞いてねえし。」

「私一人喋って馬鹿みたいじゃない!」

プーッと膨れた。




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