記憶の中で… 2
最後の会話
手術室の扉が開いて先生が出て来た。
「桂木さん、手術は成功です。もう大丈夫ですよ。今、麻酔から少し覚めたところです。もう出て来るので一緒に病室へ行ってもいいですよ。」
「あ…ありがとうございました。」
深々と頭を下げると先生は、「ご両親が来られたら病室の方へ行きます。」と、忙しそうに小走りでどこかへ行った。
良かった無事で。
病室でまだ麻酔が効いているせいで虚ろなユキを見ていると、涙が止まらなかった。
ユキの手を握り、何度もごめんと呟いた。
「ナ…ツ…?」
「ユキ?気がついたのか。お腹は痛むか?」
「ううん。」
「急に手術する事になったんだ。覚えてるか?」
「…よく…分かんない。私…手術したの?大変な…病気だったの?」
「…いや、病気…ていうか…その…。」
「…何?」
「……。」
「ナツ…キ?」
「…妊娠…してたんだ。」
「……。」