記憶の中で… 2
「兄ちゃんは…いない。」
「…どういう事?」
「夏休みの間に学校やめて…外国に行った。」
「外国?…一人で?」
コクンと頷く二人。
「どこの国か分かる?」
「色々行くって手紙に書いてあったから、今どこにいるのか分かんないよ。何で突然帰って来たのか、父さんも母さんも何も話してくれない。帰って来た次の日には、荷物も全部ユキんとこから送られて来るし…。その後、父さんと母さん、兄ちゃんの三人で何回もユキんちに行ってたみたい。でも全然会えなかったって。それからしばらくして、置き手紙を残していなくなっちゃった。」
そんな…!何回も家に来てたなんてちっとも知らなかった。その時に一度でも会えていたら…。
「今日、ユウキ君たちのお家に行ってもいい?」
「うん!学校終わったら一緒に帰ろう。お父さんもお母さんもきっと喜ぶよ。」
シオリちゃんが私の手を握った。