記憶の中で… 2


部屋に入って、ため息を一つ吐くと、気持ちを切り替えるために両手で頬っぺたを一度、パンっと叩いた。

「さってと。ナツキの手紙はどこかなあ…。」

机の中や引き出しの中…、あちこち探したけれど見つからない。

探していてふっと思い出した。

まるであの時のかくれんぼみたい。あの時は公園から出て、道路脇のトラックに乗ったんだった。

…道路脇の…トラック…?

もし、この部屋を公園に見立てたなら、部屋の外へ持ち出す物といったら、…学校の鞄?

でも鞄の中にはそんなのなかったと思うけど…。

あの時ナツキはトラックに乗って、シートまで被ったんだった。

…あ!もしかしたら…。

鞄の中から中身を全部出して、底にある中敷きを捲った。

あった…!こんなとこに隠すなんて最後まで意地悪なんだから…。

急いで手紙を広げた。

《こんなわかりにくいとこ、よくみつけたな。》

ぷっ…クスクスクス…

ナツキったら相変わらずだ。

《ゆきにいいたいことあったんだけど、いまはいわない。

またあおうな。

by natsuki 》




< 93 / 121 >

この作品をシェア

pagetop