記憶の中で… 2


「俺見ただけでそんなんじゃ、いつか兄貴と会った時、どうすんだよ。涙なくなるぞ。

俺、ここの生徒だから、見たけりゃ毎日クラスまで見に来いよ。兄貴の代わりでいいからさ。

何だったら俺が来ようか?先生と生徒のいけない関係…なんつって。」

「ば…ばか!いい加減にしなさいよ!!」

バコンッ

とノートで叩いた。

「いってえ。んじゃな、サンキュー。」

ユウキは鼻歌を歌いながら保健室を後にした。



…ありがとう、ユウキ。あの冗談は、私の涙を止めるためだったんだよね。お陰でピタッと止まったよ。

ああ、それにしても驚いた。ここの生徒だったなんて。本当にナツキにそっくりだ。話し方や言葉の返し方までよく似てる。

また、ナツキの家を訪ねてみようか。今は私も実家を出て独り暮らしだし、職場もナツキの家に近いし。

おじさんもおばさんも元気にしてるかな。




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